黒いバットスーツに身を包み、特製バイクでさっそうと街を駆け抜ける。その姿は、映画の中で悪と戦う勇敢な姿そのまま。国内外で話題を呼ぶ、われらがヒーロー「千葉(チバ)ットマン」の素顔を探るべく、接触を試みた。(社会部・小川洋平) 千葉市の某所。愛機の3輪バイクで登場したヒーローは、低音ボイスで出迎えてくれた。その“正体”は県内の港湾施設でコンテナ修理を行う会社員男性(41)。 横浜市出身。高校時代からバイクが趣味で、「バットマン」や「スター・ウォーズ」のシリーズをきっかけに、映画やコスプレにハマった。海外から購入したバットスーツで映画を見に行ったことも。仕事の関係で7年前に千葉市へ転居した後も続けていたら、いつしか仲間から冗談で「千葉ットマン」と呼ばれるように。 「劇中の世界観が好きで近づけたかった」と、映画に出てくる「バットポット」の忠実な再現に挑んだ。3輪バイク「トライク」を海外から取り寄せ60万円と約4カ月をかけ改造。仕事柄、溶接作業はお手の物だ。ハンドルの角度やデザインなど細部にまでこだわった。 バイクでの、足を後ろに伸ばした、うつぶせの操縦姿勢も映画の再現。信号待ちの最中も「見てくれる方のため油断はできない」と姿勢を保つ。体重を腹部で支え、全身が筋肉痛になったことがあるが「気合で乗り切ってきた」。 安全もないがしろにしない。長いマントがタイヤに巻き込まれないよう磁石で車体に固定。最近は地元警察とも話し合い、とがっていた車体先端部分を変更したり、前輪部分に泥よけをつけるなど改良を施した。 現在の姿で街に出始めたのは3年前。東日本大震災がきっかけだった。「震災後、下を向いて歩く人が目立った。自分のできることで笑顔を与えていきたいと思った」 普段は地元千葉市の繁華街を中心に“出没”。通行人が写真を撮ったり、手を振ったりも「ウエルカムだ」。有料道路では料金所の職員を笑顔にする。「すべてはみんなの笑顔のため。県外からも私を見に来てくださる方もいると聞いてうれしい」。マスクの下に喜びの表情が垣間見えた気がした。 ヒーローは突然現れたわけではなく、実は何年も前から人々を笑顔にしてくれていたのだ。「これからも活動を続けていく」。今日はあなたの街に現れるかもしれない。「いつでも待っている」。メッセージをくれた。
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